のーまの感想ブログ

映画の感想やちょっとしたことを書きます。

首相はスパイ?

歴史の興亡を目撃する

MI5が裏切り者を求めて無実の人々の人生を破壊していく。
それでいて肝心の自分たち情報機関に潜む”モグラ”には全く近づけない。
何という無能振りなんだろう。大戦中は華々しい「スパイ大国」だった
のに。一体どうしたと言うのだ。

500年支配していた植民地をあっと言う間に失い、国民も大勢死に、
財政は悲惨な状態。国中が厭戦気分に覆われていた。そこに理想の
共産主義」が入り込み、それに惚れ込んだインテリたちが西側を
裏切った。労働者たちも社会主義を気に入り資本家階級と対立していた。
国中が混乱した。そんな時にライトが登場し「もぐら」狩りを始める。
普通だったらすぐに排除さる所だろうが、侵入の恐怖から力強いリーダが
求められたのだ。言わば時代の申し子だ。
ライトにとってウイルソンは格好の相手だった。素人の自分に”モグラ”を
見つけられるはずがないからだ。だから簡単な相手を選び”奮闘”した。
アングルトンはどうだろう。自分の機関には侵入されなかったが、それ
以外の機関全てが侵入されていた。誰が裏切り者で誰が操られているのか。
誰が味方で誰が嘘を言ってるのかも分からない。一方で、自分たちは
さっぱりソ連に入り込めない。そこにMI5から格好のネタが入り込んだ。
そしてアングルトンもまた”ウイルソン”に飛びついた。

時代は”人”を使ったスパイ活動から、人工衛星による監視や無線の傍受と
言った”技術”の時代に移った。”技術開発”には膨大な資金が必要だ。
戦勝国で唯一成功した国アメリカ。基軸通貨がポンドからドルに変わった
だけではない。情報の世界でもアメリカが世界を支配することになる。
本書はイギリスの衰退とアメリカの世界支配の始まりの過渡期の出来事だ。
そしてそれはアメリカ単独と「共産主義」との長い戦いの始まりだ。