のーまの感想ブログ

映画の感想やちょっとしたことを書きます。

となり町戦争

名もなき人々

今回の任務は今までのとは違う。その人は今正に追われていると言う。
私が助けなければ、その人は間違いなく捕まるだろう。捕まれば
私のこともばれるだろう。助けるしかない。それとも、今すぐ逃げ
出そうか。だが何処に?それ以上は考えが浮かばなかった。パニックを
起こしていたのだ。

どうしてこの任務を引き受けたのか。自分の人生に味気なさを感じて
いたからだ。自分の人生を生きたかった。だが、それが何なのかは分から
ない。只働いて、ヨガやピラティスに通うおばさんにはなりたくなかった。
海外旅行にはもう豪華さはない。豊かな時代。苦しみのない時代。そんな
時にこの任務を知ったのだ。

2度目の呼び鈴がなった時、反射的に戸を開けた。男を逃した後は震えて
いた。だが同時にふつふつと満足を感じていた。「とうとうやった。
自分は務めを果たしたのだ。」
無名だが世に尽くした人は沢山いる。どんな人生を生きたのか、生き
ようとしたのか。それを知る者はいないが、彼らが自分の人生を生きた
のは間違いないのだ。